「こんなはずじゃなかった。 どうしてだろう。」

カツカツと靴だけがただ音を立てる。
男の手には銃が握られ、少女は機関銃を抱きしめて歩く。
「この時の感情は、今でも思い出せない。」
男がドアを思い切り蹴ったが、その音なんて耳に入らない。
そのまま男が銃を天井に撃ったからだ。悲しさか、寂しさか、それとも怒りか憎しみか。
複雑な表情を湛えながら、少女は構えた機関銃を撃ち続けた。
「ただ、窓から見える夕焼けがやけに綺麗で、 外の世界は今日も… いつもと代わらず動いているんだなぁと、 そう思ったのを何となく覚えている。」
男はただ叫びながら銃を撃つ少女を見守る。銃声がやんだとき、少女の頬を涙がつたった。

「全てはあの日から始まった。」



セーラー服と機関銃!



ツナ「…ヒバ、リさん??」
リボ「よく似合ってるじゃねぇか。」
ディ「ウソだろ…。」

リボーンに来いって言われて、なんかとりあえず来てみたけれど…

ヒバ「僕のセーラー服、そんなに珍しいかい?」
(珍しい通りこして奇跡だよ!!)


何食わぬ顔で歩いてくる影。
カツカツとローファーの音を立てて歩くところまではいつも通り。
何が違うって、着ているのが学ランじゃなくセーラー服だってこと。
冬のセーラー服に身を包んだヒバリさんは、それを自然に着こなしていた。
紺のソックスも細く伸びた足にぴったりだし。でもオーラが変わらない彼は、やっぱり流石ヒバリさんだと思う。

ヒバ「赤ん坊の願いなら何でもするけど。それで何をするんだい?」
リボ「撮影するんだ。ちなみにツナは助監督だぞ。」
ツナ「かってに役振り分けないでよっ!!」
ディ「Mamma mia!!!l'ora leg! ale estiva…」

(ディーノさん壊れ始めてるし!!)

山本「いっやぁー、けっこう似合ってんな。」
獄寺「…。」
ツナ「山本!!それに獄寺くん!」

山本ったら、真っ先にヒバリさんのところ行くし。
後ろっからガバっと抱きついてるし。
恵まれた体格って、こういうこと言うのかもしれない。

山本「ヒバリ、けっこう可愛いのな。」
ヒバ「…スカートだから、トンファーだすのは簡単なんだけど?」

抱きつく山本に鋭い視線だけ送る。
ヒバリさんが裾をつまんでスカートをめくると、ベルトでトンファーが装着してあった。
それを見て、山本はやっと離れた。 …怖くないのかな。

ディ「ちょ、ちょちょっと、恭弥!!!」
ツナ「ディ、ディーノさん!?」

顔面を覆って壁によろける、キャバッローネのボスがそこにいた。
ボタボタと真っ赤なものが伝っているが、あえて無視するのが優しさだと思う。

リボ「ちょっと刺激が強すぎたか? ヒバリはお前の弱点だからな。」

山本「なんか、おもしれぇなぁー。つーか俺、何で呼ばれたんだろ?」
ツナ「早くやるならやって終わらせようよ…。」


(ただいま台本練習中)

山本「なぁヒバリ。(出張から)帰ってきたら、映画でも見に行こうぜ?久しぶりに浅草なんかも行きたいし。」
ヒバ「…全然いつもと変わらないね、君。」
山本「ん、ヒバリも変わらないんじゃね?」
ヒバ「人の下着、勝手に触らないでって言っているでしょ。」
山本「…。」

獄寺「けっきょく、あの野球野郎は何役なんですかね?」
ツナ「たぶん、お父さん役じゃないかな…。」

リボ「じゃあ、撮るぞ。」

「なぁヒバリ。帰ってきたら、映画でも見に行こうぜ?久しぶりに浅草なんかも行きたいし。覚えてるか?お前が3つの時、お母さんと一緒に浅草神社に行ったの。」
鏡の前でリボンを結ぶヒバリの後ろから山本が話しかける。
「…来年受験だよ。まぁ関係ないけどね。それより他に誘う人いないわけ?」
(あ、ヒバリさん。表情変わってないけどリボン結ぶの苦労してる。)
「こんな可愛い娘がいるんだ。誘って何が悪い。」
(山本、なんで肩に腕まわしてんの!!?)
「老後に備えて再婚でもしたら?」
(ヒバリさぁん!今、口元にニヤリっていう笑みが、笑みが!)
「いいのかぁ!?じゃぁ、恭弥… 娘じゃなくて嫁とし(殴
「母さんみたいな物好きがいたらの話だけどね。行ってきます!」
(玄関に父親倒れてますけど!!!)

リボ「カット。わりとよく取れたな。」
ツナ「父親がトンファーで殴られるなんて台本に無かったよね!リボーン!」

山本「けっこう俺、役得だなぁー。」
父親(山本)は満足そうにそう語るけど、包帯姿じゃ説得力がない。
ヒバ「殴られて嬉しいわけ?」
山本「ん、違う違う。だってこれから俺が死ぬわけじゃん。その犯人捜すためにヒバリは頑張るんだろ?」
ヒバ「君のためってのが気に入らないね。」
山本「じゃあ後は俺のために頑張ってなぁー。」
ヒバ「咬み殺したい…。」

リボ「主人公の星泉は、“筋は通す”やつらしいぞ。信号も青で渡るそうだ。」
ヒバ「僕の場合、車が道を譲るけどね。」




「はぁ…。」
橋の上で川を覗き込むヒバリ。父親との思い出をたどるように歩いた浅草。
もっていた煎餅とメガネをうっかりヒバリは落としてしまう。
素晴らしい近眼なので、さらに川を覗き込むヒバリ。
そして何を勘違いしたのか素晴らしい勢いで駆け寄るディーノ。

「待て!!早まっちゃ駄目だあああぁぁぁぁーーー…」

欄干につんのめり、そのまま下へ落ちるディーノ氏。
どぼん。

ツナ「ディーノさぁあぁぁん!?」
ヒバ「……。」
リボ「おい、大丈夫か?」

何とか自力で岸にたどりついた我らがキャバッローネボス、ディーノ氏。

ヒバ「君、演技けっこううまいね。」
ディ「何をどう考えてそうなるんだ!!」




ディ「雲雀恭弥さんはいらっしゃいますか?」
ヒバ「…何。」
めんどくさそうに、前に出ていく泉。
「雲雀さん!!」
委員会メンバーや教師たちが(遠慮げに)引き止める。
「僕を呼ぶなんていい度胸じゃないか…。」
泉はそう言い、ぼやけた視界を突き進んでいく。

(ほんとは全然見えてるんだけどね。)

男の顔をよく見ようと、顔がくっつきそうなくらい接近するヒバリさん。
心なしか顔が赤いような気がしないでもなくない…。
そんな泉に戸惑う(通り越して照れてる)ディーノ。

ヒバ「…あ、昨日の。////」(見えてないんだ、見えてないんだから!!)
ディ「昨日は、どうも。////」(近い近い近いって、恭弥っ!!)
ヒバ「ど、どうしたんですか?////」(見えてない、見えてない…)

そう言いながら、ヒバリはそっと壊れたメガネをかける。
そしてディーノの背後にいた、30人以上の男たちの姿にやっと気づく。(遅!
驚きと恐怖で思わず後ずさりする(予定だったんだけど不動な)ヒバリ。 ←顔近いまんま。

ディ「雲雀恭弥さんですだあぁぁぁぁあああ!!こんな距離耐えられるか!!」
ヒバ「…取り直しじゃないか。////」

リボ「これで3回目だぞ?」

ディ「裏の世界に一度染まった人間は表の世界じゃ生きていけな(略
ヒバ「捨てるなら…、その命、僕に頂戴?それから父を殺した犯人を捜すの手伝ってね。」

ツナ「ヒバリさん、ディーノさんの台詞無視してるよ!!!?」

(ヒバリならなんの違和感もなく組長やりそうだもん。)

その時、銃声が轟いた。窓が突然割られていく。
悲鳴を上げるヒバリ(ありえない度95%)に覆いかぶさり守るディーノ。

「怪我はありませんか?」
(あー、ヒバリが俺の下にいるうぅー…。)
「い、今のって」
(ディーノ、早くどいてくれないかな…。)
「襲撃です。」
(なんか変な気になるなぁ、この状況)
「あ……、ディーノ… 腕。」
(ヤバイ、この跳ね馬… 表情変わってる。)
「約束しましたから。命を張って守るって。」
リボ「カット。」

ディ「恭弥ぁぁあぁぁああ!!!」

そのままの体勢からぎゅうと抱きしめる。
と、構えていたヒバリの膝がちょうど鳩尾にクリーンヒットした。

ヒバ「…危なかった。」



終われ。