「パパー!」

スウェーデンが庭から家へ上がるや否や、小さい少年――シーランド――がパタパタと駆けて来る。
どーんと抱きついてもびくともしないパパを見上げ、えへへと満足そうだ。

「なじょした?」
「ママが美味しそうなもの作ってるですよ!」
「スーさん、タルトのお皿棚の一番上にあるんで取ってもらえますかぁー?」

キッキンから女房――フィンランド――の声。
顔には出さずに笑って、スウェーデンはキッキンへ足を早めた。







ローストラズベリータルト







「あ、スーさん!ありがとうございます。」

どんと陶器の大皿がカウンターに下ろされる。
上目遣いでお礼を言う女房を「めんげぇなぃ」とご機嫌で見下ろし、タルト生地を敷き詰めるスーさん。
パパは凄い!と敷き詰められたタルト生地をまじまじと見つめるシーランド。
そのシーランドの足元をちょろちょろ歩く花たまご。
広い家なのに何故か家族全員キッチンに固まっているのは、みんながみんなを大好きなせいだろうなぁ。
キッチンカウンターでラズベリーをタルト生地に流し込んでいるフィンランドは思った。
そして流し終わると、待っていたスーさんがオーブンまで運び黙々とタイマーをいじり始める。
その背中を家族はあぁ頼もしいと誇らしく眺めるのだ。

「できたぞ。」
「じゃあ焼けるまで時間もありますし、少し休憩しますか」
「ん。」

ほらソファー行くよーと背中からシーランドに抱きつくフィンランドのなで肩が、どうも抱きつきやすそうで。
ぼーっと眺めていたら二歩前。手を伸ばせば届く距離。
連れてってときゃんきゃん吠える花たまごを左手で拾い上げ、右手いっぱいに女房を抱き寄せた。

「おひゃああぁあ!!!」
「…めんげぇなぃ。」

口数の少ない旦那ののろけは女房の絶叫に書き消されましたとさ。






家族といったら北欧夫婦ですね。
可愛い子どもに可愛いペット、最高じゃないですか!
そして、ローストラズベリーは「世界のキッチンから」より。
世界のキッチンシリーズはいつも美味しそうで新製品を心待ちにしています。